青梅よ、廃れないで。
私は青梅の出身じゃない。住んでいるだけだ。
もっと言うと、青梅市じゃなく隣の羽村市に住んでいて青梅によく遊びに行くだけだ。
でも趣味のロードバイクで青梅駅前の自転車屋には週1回以上おじゃましているので、もう自分にとっては青梅はホームタウンなのだ。自然も多いし、街の雰囲気もいい感じ。青梅が気に入ったからいつか青梅市民になりたいなーなんて思ってる。
青梅駅前の自転車屋に行くようになるまで、青梅というのは名前しか知らない土地だった。駅前通りも狭くてごちゃごちゃしていて(ロードバイク乗りとして)通りにくかったし、ぱっと見ても食事処がわかりにくく、ロードバイク専用のバイクラックもなければ置くのに良さそうなスペースもあまりない。治安は悪そうじゃないけど、止まる理由がないのでいつも通り過ぎるだけだった。
でも立ち止まってよくみるととても情緒がある街なのだ。駅前通りは平屋2階建ての建物ばかりで、レトロな風貌な建物も多くとてもどこかノスタルジックだ。駅前通りは金物屋や総菜屋、足袋屋など昔ながらの専門店が並ならぶ。そして間には小さな路地が迷路のように這っていて古い民家の隙間を縫って歩けば旅心が刺激される。そこには生活があるのだ。そして驚いたのは夜は早々にシャッターが閉まることだ。8時を過ぎてやっているお店は数えるほど。なんて健全な街だろう。他の土地から来た自分にはとてもワクワクする街だ。さらに青梅が地元の友達ができるといろんな隠れた名店があることに気づく。豆腐屋とわからない豆腐屋、知らなければ入りにくい古風な風貌のトンカツ屋、奥まった場所にひっそりある赤提灯の飲み屋。地元の人しか知らない隠れた名店だ。
しかし、よく通うようになるとあることに気づく。
「新しい店が少ない」
新しい店というのは何もきらびやかやな都心のブティックのような店を指しているわけではない。商売の活気といったものが弱く、街がションボリしている気がするのだ。
そんなとき喫茶店シャノアールが閉店した。
シャノアールは青梅駅前交差点のカドにある喫茶店だ。私も1回行ったことがある。ビルの細い階段で2階にあがり店内に入ると濃い赤茶色の調度品に囲まれた昔ながらの落ち着く空間が広がる。クリームソーダや照り焼きチキンサンドなどの軽食が食べられる。窓際に座れば駅前の様子を眺めながらゆっくりとした時間を過ごすことが出来た。
シャノアールはもうない。これは衝撃だった。
駅前をよく見ると、普段の土日は青梅に観光に来たような人は目立って見かけない。いるのは地元の人と、テキパキとロードバイクを片付けて電車で帰る自転車乗りくらいだ。バックパッカーは見かけないし、山登り帰りの人もあまりみない。そしてみんな通り過ぎるだけだ。
なんてこった!!
もっとたくさんの人に青梅に降りてもらわないと、どんどんお店がなくなってしまう。それは困る。もっといろんな人に青梅を知ってもらい、遊びに立ち寄ってもらわなきゃいけない。けど、まず何からすればいいんだろう?
シャノアールの閉店を心の隅に置いて、何か出来る事を探してみよう。